近赤外撮影-3

 昨年12月国立野辺山天文台がオリオン座大星雲M42の中で「新たに星が生まれそうな部分」が発表された。超新星はむしろ星の最後の姿だが、ここはまさに今、と言っても今後10万年くらいの間に星が形成されると期待されるエリアだ。

 赤外線天文学はすでに30年以上の歴史があるが、最近ではジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」が赤外線観測用として打ち上げられた。主たる目的は宇宙創成初期の光をとらえることで、これはオリオンの話とは異なる。

 で、何をしたいかと言うと、デジカメの改造である。すでに電子アイピースでIRフィルターを取り外したM42の近赤外写真(850nm~)を撮ったが、なんせ画角が狭い。受光素子が約3.5mm×6.5mm(約22mm2)しかない。デジカメの受光部はm-4/3マウントでも14mm×18mmくらいあり面積は10倍以上ある。

 天体写真用にはフルサイズデジカメのIRフィルターを取り外す「IR改造」をしてくれる所があり、数万円もだせば可能だ。しかしオリンパスのカメラについては、調べた限りでは見当たらなかったし、自分で改造するのも楽しみである。

 写真1はIRフィルターを取り外した改造Pen E-PL5で撮ったM42

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写真1. D80mm-F7(ED)直焦点、ISO6400-10sec, W.B 6000K、IR720フィルター、トリミングあり

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近い将来? 星々が誕生しそうな部分(右:野辺山宇宙電波観測所HPより)

「もうすぐ星が生まれる場所」を含む野辺山電波地図の完成 (nao.ac.jp)

 

 ちなみにトラペジウムを拡大して以前撮った写真と比較して見る。写真2は露出2秒が1枚、写真3はトータル200秒であり、口径差も考慮すると改造カメラのほうが良さげかも。しかしこの改造PL-5には問題点もあり、改造も大変だったが。。。

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写真2 ISO6400 露出2sec WB5300K IR72フィルター

写真3 125msec×1600フレームスタッキング、D200mm-F5 直焦点 改造SV105 + IR850