ZTF彗星(C/2022 E3)-3 (コマ形状:追記)

以下は先に投稿したものであるが、その後論文を調べていて参考にすべきものが見つかった。十分理解はしていないが、とりあえず追記しておこうと思う。

チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星という有名な彗星であるが、1969年に発見され、2004年に欧州が打ち上げた探査機(ロゼッタ)が着陸した。チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星 - Wikipedia

 これにより詳しいデータが得られ、論文も多数発表されているようだ。

で、下のFig.5に注目した。尾を形成する粒子の大きさとその分布が示されている。1μほどの小さな粒子ほど外側の「尾」を形成している。これは私の直観と整合しているように思う(自画自賛)。

つまり、ダストで形成された尾(コマも含むと思う)の再外周部は小さな粒子で形成されおり、したがって可視光だけで観測するとここで反射が生じる。近赤外以上では最外周部を通り抜けて、より内部にある粒子で反射する。

当たっていると嬉しいのだが。。。

 

Observations and analysis of a curved jet in the coma of comet 67P/Churyumov-Gerasimenko、A&A Volume 588, April 2016

<前回投稿>

いよいよ彗星は遠ざかっており、2月17日の19時には地球から約1億kmまで進み、更に遠い宇宙へと旅だっている。等級は7.5等くらいで眼脂では無理だが、二度と会えない彗星に感謝と別れを告げたい。

と、新月期に入り寒さも緩んだ2月17日、いつもの場所で撮影を行った。例によってnormal Pen-Fと改造EPL-5で可視vs近赤外で撮影を開始。今回はファインダーカメラとしてD70mm-f.i.300mmの、あの有名なM社の短焦点アクロマートにEPL-7を付け、C8Nにのっけてガイドファインダーのテストも兼ねた。画角は4度強あるので焦点距離2000mm(35mm換算)の直焦点撮影の導入には役立った。

で、可視像をいろいろ見ていると、どうも彗星のコマ形状が伸びていることに気が付いた。彗星の対地移動はもうずいぶん少なくなっているので、球状になるはずと思っていた。しかし、Orioさんのブログでもコマ形状が楕円であることが報告されていることが分かった。さすがである。 ZTF彗星 (C/2022 E3) 2023/02/09 – Orio Blog

そこで近赤外を含む画像を見てみると、なんと球状であること が分かった。可視と近赤外では形状が違いそうなことを前々回報告したが、今回も同じ結果であり確信が持ててきた。上半分が改造EPL-5、下半分がnormal Pen-Fである。露光条件はそれぞれ異なるが、条件が似たようなもので比較すると明らかに可視~近赤外画像のほうがコマが球状である。

考察はいろいろあると思うが、一つの考えとしてはテイルダストの影響かなと思っている。近赤外光は波長が長いのでダスト粒子による反射の影響が少なく、結果より中心部を見ているのではないだろうか。

彗星の観測はこの歳になって初めての経験。いろいろと楽しむことができた。感謝。