やっぱりM42星雲だ!

 M42を波長850nm~約1300nmの近赤外で撮ってみた。狙いは散光星雲のむこうの星、トラペジウムをはじめとする微恒星を撮ることにあります。参考のために口径40cmで撮られた公開画像を載せました。トラペジウムは飽和していますが、より微恒星が写っています。 露光2分ちょっとです。やはり近赤外で見ると「分子雲を透して」見えるのではないでしょうか。暗黒星雲のディーテイルも見えて嬉しいです。

D200mm-F5+IR85+改造EPL5 ISO16000-5sec×25枚スタック、OMS処理 (D200mm-F5+AC4 実測758mm:F3.8、IR85を付けて改造EPL-5直焦点撮影、EQ-5 GT+PHD2自動追尾、2024.1.12 朝霧アリーナ、気温-1℃、風あり)

http://www.palette.furukawa.miyagi.jp/space/astronomy/observations/osaki_sky/061101_m42.html

露出を長くした画像も載せます。IOS16000で30sec×24枚スタックしました。階調はあまりいじっていませんが、どうしても中心部分は飽和しています。

 

 

M42 近赤外画像(720nm~約1300nm)

 冬と言えばやはりオリオン座。M42の羽の向こうにどのくらい恒星が見えるか、ややトレンドと逆行するような気がしているが、撮ってみた。以前トラペジウムを見るために電子アイピースをつけて同じような撮影したが、そういえば赤外改造デジカメではまだだった、ということで撮影。

 かなり諧調をいじって羽の部分の濃度を下げたので多くの微恒星が写っているが、まだ中心部は飽和している。次回はIR85を付けて撮ってみよう。星の形成領域を見てみたい!

D200mm-F5(C8N)+IR72+改造EPL5直焦点撮影、EQ5 GT +PHD2自動追尾。ISO25600-30sec×7枚スタック処理。Workspaceで階調処理。2024.1.5 田貫湖

 

 

M45近赤外画像と可視画像との比較の試み(データ追加による検証)

追加データによる検証:

・下記記事にあるようにD200mm-F5(C8N)で再測定を行い、検証をしました。

・図2の近赤外像で見つけた「可視で見られなかった星」の一部はノイズである可能性があることが分かりました。

・図3がD200mmで撮影した画像ですが、フィルターはIR72、前回の図2ではIR85ですので100nm以上可視に近いところまで感度があるとは言え、メローペ付近の(画面左側)2つについてはについては図3では写っていないのでノイズの可能性が高いです。メローペの画面右下については図2で明確に写っているのですが、今回の図3では見られず、再現性は不明です。

エレクトラ付近については写野以外ですので、いずれ確認します。

・文献(The Merope Nebula and Its Well-Kept Secret - Sky & Telescope - Sky & Telescope (skyandtelescope.org))を見ましたが、メローペ周囲の分子雲(NGC1435)は水素や炭化水素の原子や分子からなっている、ということですので、近赤外と可視での違いは少ないものと思われます。(2024.1.7)

図3.IR72で撮影(ISO25600-30sec×7枚、図4.可視像(Pen-F, UHC, 25600-30sec×24枚)2024.1.5 田貫湖

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M45を今年の最後に撮ってみました。

IR850を付けた近赤外と可視(ノーマル機)との比較ですが、ねらいはM45の手前の散光星雲を透して何が見えるかな、という試みです。

最初に言い訳ですが、12/29は月の出が19時前だったので、18時頃から30分程度での短時間の撮影でした。図1は極端に諧調変えてB/W変換しており、15等級くらいまで見えています。

図1.D80mm-F7(セミアポ)+PenF(normal)+CLSフィルター、ISO16000-60sec, 5枚スタック+階調調整+B/W変換。

次は850nm~約1300nmでの近赤外撮影結果で、ISO16000-30sec×12枚スタック、階調調整+B/W変換画像です。

図中矢印を付けたところが「反射星雲の向こうに見えた?」恒星と思われるもので、上図およびNETで公開されていたD200mmで撮影された画像(下記リンク先)との比較で求めました。

図2.改造EPL5+IR850で撮影し、スタック+B/W変換画像。

いずれも5,6分の撮影なのでノイズや解像度的に不安になりますが、いずれD200mm-F5で確認したいと思います。これで23年は終了、来年もよい年になりますように。

反射星雲NGC1432『マイア星雲』& NGC1435『メローペ星雲』 (coocan.jp)

NGC7822 近赤外光観測結果

 NGC7822は地球から約3000光年離れたところにある散光星雲で、ケフェウス座というよりむしろカシオペア座に近いところにある星雲です。可視光像(ただしY2フィルターで青色カット)は先のブログで掲載してあるが、同じ日に撮った近赤外像(720nm~約1300nm)で撮影した画像と比較したところ、一部の恒星が「星雲の向こう側」にあると想像?できることが分かったので、比較画像を掲載します。

 下の近赤外像で線で結んだ恒星の右から2番目の星の左下付近にある星です。これは可視光像より明確に明るく写っています。可視光領域は、この星雲、つまり星間物質の大きさが原子~ミクロンレベルの大きさの粒子で散乱されてしまい、地球にはとどかなくなります。一方、近赤外~赤外領域の光は散乱されずに地球に届きます。つまり、この星間物質の向こうにこの星があることを示唆しています。やや見ずらいが、明るい恒星は線で結んであり、比較するときの目安としてください。

<以下2枚を追加>上:近赤外光像、下:可視光像



 

上の図:可視光像(EPL7)、下の図:近赤外画像(改造EPL5)

このような比較をシステマティックにできると良いのになあ、と思いますが、結構大変でした。

 この星雲は「星たちがたくさん生まれている」ということでいろいろな観測がなされています。今回見つけたことはもちろんすでに詳細に研究されていることと思います。

Star Formation In Nearby Clouds (SFiNCs): X-Ray and Infrared Source Catalogs and Membership (iop.org)

夏の終わり、白鳥とケフェウスの散光星雲

 そろそろ残暑厳しき折、という言葉が出てきそうな候。24日25日は奇跡的に深夜を通じて晴れとなった。しかし今日8月26日は午後から雷雨となり、昨晩頑張って朝3時まで天体写真にふけったおかげで何とも眠い一日でした。気が付くとアンドロメダ姫が天頂に、富士山からオリオン座も昇ってきた。夏の終わりだ。

 機材はSE120。何とも捨てがたい鏡筒で、O2の650nm付近の光がメインならば青色の色収差はY2フィルターで目隠しし、あとはホワイトバランスと階調調整で赤っぽく仕上げよう。AC4のクローズアップレンズを付けると焦点距離が少し短くなるので、夏の代表天体の一つ、北アメリカ星雲NGC7000も撮ってみた。幸いにも画面中央に北米大陸が入った!

SE120+AC4+Y2+PenE-PL7, ISO8000-30sec×24枚スタック処理、WB:5300K, R+3step,
G-7step

Gレベルを最低としたがそれでも元画像は緑色が強い。Rレベルは撮影時モニター上でも少し赤が出てくるよう。結果、OM WSでかなりの足感度調整を行い、最終MS Photoでフィルター処理をかぶせ、コントラストを上げた。ちなみに画像左下の明るい恒星像はAC4を付けたことによる収差と思われる。

次にNGC7380。ケフェウス座にある散光星雲。これも同一条件23枚スタック処理。無理をしてコントラストを上げているので赤い部分の細部はつぶれている。

最後はNGC7822。同じくケフェウス座にありNGC7380のすぐ隣だが、若い星雲で多くの恒星が誕生しているそうだ。?マークの形をしているが、この画面ではまーーくの下の点は入っていない。

いずれも上が北、トリミングなし。EQ-5 GOTO + D50mmF3.8ガイド鏡+PHD2自動ガイド。20230824-25、田貫湖駐車場。

<追記>

この光学系がなんぼのものか?

NGC7380の30秒露光1枚をB/W変換だけして四隅を見てみた。左上だけが放射状に流れており、収差が見られる。全体的にはっコスパを考えるとシャープではないが「まずまず」かな、と。

 

いて座M17

M17もいて座にある明るい散光星雲で、ハクチョウや数字の2に見える、と言われる(中西昭雄著)。画像は右が北。

周辺の淡い部分は荒れているが、これは階調処理でRをかなり高階調にしたため。ISO8000などと設定しているが、銀塩の感覚ではISO1600でも「ざらざら」なので、デジカメになって神経がおかしくなってしまったようだ。そろそろ夏の星座シリーズも終わり。

C8NにクローズアップレンズAC4を付けて実測f.l. 758mm、Pen-F直焦点撮影しました(UHCフィルター)。ISO8000-30sec×24枚をスタック処理。EQ-5GOTO+PHD2自動追尾。20230811 静岡県朝霧アリーナ

 

M8干潟星雲

いて座M8星雲。

下記画像はMSPhotoで5%弱縮小しただけで4.5MByteになったもの。元画像は10.5MByteなのでアップロード不可。同じjpegなのにずいぶん容量が変わり、しかも画像が荒れてしまいました。それにしても、どうみれば干潟に見えるのだろう。

C8NにクローズアップレンズAC4を付けて実測f.l. 758mm、Pen-F直焦点撮影しました(UHCフィルター)。ISO8000-30sec×7枚をスタック処理。EQ-5GOTO+PHD2自動追尾。20230811 静岡県朝霧アリーナ