いて座の星雲M20です。北側(画面左)の青っぽい部分が少し出ましたが、やはり露出が短いのでしょう。Pen-F(m4/3)ではフルサイズ換算2000mmになるので、EQ-5ではスペックオーバーで。残念。でもAC4を付けたのでM21も入りました。
C8NにクローズアップレンズAC4を付けて実測f.l. 758mm、Pen-F直焦点撮影しました(UHCフィルター)。ISO8000-30sec×25枚をスタック処理。EQ-5GOTO+PHD2自動追尾。20230811 静岡県朝霧アリーナ)
どこかでtidal tailという言葉を見たが、「潮汐尾は、銀河から宇宙に伸びる星と星間ガスの薄くて細長い領域です。潮汐尾は、相互作用する銀河間の銀河潮汐力の結果として発生します。」とWikiにはあり、銀河では長く尾を引いた写真を思い出す。IC4756は散開星団であり、これにも潮汐尾があるという(Extended Tidal Tails of IC 4756 Detected by Gaia EDR3 - IOPscience)。Netには”この星団は夏の銀河に双眼鏡でも容易にみることができるのに、全く興味を引かない”などと書かれている。しかし、この散開星団の恒星数は640個であり、数100個の恒星からなる非常に長い潮汐尾をもっていることが報告されている、立派な研究対象である。
で、撮ってみた。確かにカメラのモニターではその対象であるか確信が持てないほど星尾も少ない。確かにパッとしないが、S字状の長いテイルを持つと思うと、不思議な感じがする。
IC4756 SE120(D120mm-F5)+AC4 (実測f.l.=442mm) +Y2フィルター+ Pen-F (WB: 5300Kマイナス3STEP(G), ISO8000-15sec)×24枚 RegiStax、MSフォトでBWフィルター処理。IC4756は矢印を付けた範囲の左上の部分。
SE120はアクロマートレンズ、しかもF5という短焦点なので青ハロが盛大に写る。この2年間、いくつかの対応を検討してきたが、そろそろ卒業したいので、Y2フィルター+ホワイトバランス調整の組み合わせを検討した。
結果、Y2で青ハロは消えるが、色バランスが崩れ背景は緑色になることから、5300K設定でGreenを抑えることがかなり背景を黒っぽく戻せることが確認できた。
しかし問題としては、
1)Y2ではなくもう少し400nm寄りの波長でカットしてくれるフィルター(名前を忘れたが、確かケンコーで昔扱っていた)なら、黒の破綻は軽微になるはず。
2)夜空の明るさによって破綻レベルが変わってしまうので、街灯や対象の仰角にも依存してしまう。
等が挙げられる。能書きはこれくらい。
図1.これはM11、WBを5300KでGreenをマイナス2STEPとしたもの(ISO8000-15sec×48枚)。比較のためWBを通常デフォルト設定(AUTO)では、次のように派手に青ハロが見える(図2)。
この画像をMSPhotoでB/Wフィルター処理すると、図3
なんと結構いけてる写真になった。しかしよく見ると、消えた青ハロ部分は「黒い溝」のように黒抜けしている。(いずれもISO8000-15sec×51枚スタック処理)
ということで、あとは対象の問題で、星団だけトリミングすればこのB/Wフィルター処理でも問題はないが、次のM12のよう恒星に「色」がついている場合はそうはいかない。図4.ISO8000-15sec×21枚スタック。Greenマイナス2STEP。
Greenレベルを0~マイナス4まで見たところ背景が少しづつ変わるので、これもケースバイケースで調整必要になると思われる。
共通データ:
SE120+AC4クローズアップレンズ(実測f.l.=442nm、合成F=3.68)
EQ5 GOTO+D50mmF3.8ガイド鏡+ZWOASI120mini+PHD2自動ガイド
Olympus Pen-F、OM WorkSpaceで階調調整後、オプションでMSPhoto。
M20をD120mmのアクロマートで可視光域で撮影した。なぜ、ということだが、やはり近赤外像と比較したいからであり、この散光星雲の向こうにはここで誕生した恒星が120個もあるとのこと。E-PL5の近赤外でどうなるかはこれから。
予想通り、UHCフィルターを付けただけでは華々しく色収差が写ってしまう。そこで階調処理でどこまで消せるかに挑戦した。方針は、まずBをほとんど消し、次にGとRでっできるだけ赤を強調。最終的にはコントラスト含めて背景色を黒っぽくした。しかし、当然ながら赤は強いのだが、M20の北側の青っぽい星雲部分も赤になってしまう。これならB/Wにしたほうがましかも知れない(笑)。ともあれ。
ついでに処理前は。
M16わし星雲の散光星雲(IC4703)は水素元素の発光であり主波長は656nmとある(H2領域)。実際非改造のデジカメでとると、M16は赤みを帯びており「映える」。
ジェイムズウエッブ望遠鏡の観測により、それまで「創造の柱」と呼ばれる暗黒星雲領域とその周辺に多くの恒星が写っており、赤外線観測が新たな段階に入っている。
と、能書きはこれまでとして、以前からトライしてきている改造E-PL5にIR850を装着し、850nm~1250nm(推定)での撮影を行った。ポイントは、実はSE120屈折望遠鏡(D120mm-F5アクロマート)をどう活用するかで、つまり普通に撮っていては色収差が防げず気が引ける。以前AC4を付けてreducerとすることで、色収差は幾分改善できたし、あるいは黄色フィルターY2や赤フィルターを付ければそれぞれ収差は改善できる。しかしそれだけではどうもつまらないし、WBの設定や画像処理も面倒になる。
今回は、SE120にIR850をフィルターハウジングを自作して導入し撮影してみた。ついでに、D80mm-f.l.700mmをヤフオクで買っていたので、これにAC No.5(200mm)を内装して合成f.l.280mm(F3.5!)とし、非改造E-PL7を付けたファインダーカメラのテストも兼ねた。(2023.7.11, 22:40~23:15, ISO25600-30sec露光×30枚スタック処理。ISO12600 WB5300K、高感度・長時間NR:ON)
散開星団は散光星雲の手前にあるというので、この散光星雲がなくなってもあまり意味はないようだ。ちなみに、可視領域で撮影した画像を載せる。やはりこのほうが「映える」。total4分露光。「創造の柱」はうっすらと写っているようだ。
今年も梅雨入り9月までは望遠鏡もお蔵入り、と思っていたところ、意外な晴れ予報。どうせ夜はだめだろうと思いつつ、とりあえずいつもの場所へ。22時ころまで待っていると、どんどん雲が切れてついにM101の撮影を開始した。
もちろん話題の超新星が狙いで、最初にPen-Fで可視像撮影。次にカメラをEPL5赤外改造を付けて撮影し、深夜2時に終了。帰りはずっと下り坂だったが、なんと燃料計は黄色表示でひやひやしながら帰宅した。(Cerestron C8N, EQ-5 GOTO + PHD2自動ガイド)
左は6月16日23:15~23:58までの間の60sec撮影×17枚をスタッキング処理。ISO25600でUHCフィルターを付けている。
右は赤外改造EPL5でフィルターなし。ISO12800-30sec×9枚をスタック処理し、B/W変換した。時間はおそらく6月17日01時~02時の間。すでに仰角は40度以下。
両者を比較すると、右のほうが超新星は少し明るく写っているように見える。以前読んだ文献で、これは確か1.2μあたりの何らかの元素によるものと思うが、もちろん定かではない。
今晩も晴れそうなのだが、いつもの駐車場はキャンパーでいっぱいだろうか。とりあえずガソリンだけは入れておきたい。
追記:Pen-F撮影画像でもう1セットあったので、スタック処理のみの画像を追加。赤外画像との明るさの違いはない。
ようやく花粉の季節が過ぎたので以前から撮りたいと思っていたM104の撮影を行った。プロの赤外線観測結果では銀河バルジが消えてしまうということで、無謀にも近赤外改造カメラでの比較を試みた。結果としては、いくつものエクスキュースがあり、またも持ち越しであるが、一応備忘録として。
図1はセレストロンC8NにIR720を付け改造E PL5で撮影。ISO15800-30sec露光×26枚スタックした画像をB/W変換したもの。トリミングしてある。
図2は同じくUHCフィルターを付けたPen-Fで、ISO25600-30sec×27枚スタック処理したもの。日時は2023.5.16、図1が20時~21時、図2は21時~22時頃で、19時頃が南中だったので図2撮影時はかなり南西に傾いてしまった。
ここからはひいき目の味方だが、図1のほうがバルジ周辺の微恒星が写っているようだ。エクスキュースとしては、1)図2はややピントが甘い、2)仰角の違いによる大気ロス、などなど。はやりM104は2月の深夜にとるべきだったようだ。